2006年07月16日

連続小説「たまにはコーヒーを」

第二話「ホットケーキはいつもどおりに」


「おはよう、今日はカフェオレじゃないのね?」
にこやかに彼女はそう言った。普段の私なら、店の扉を開けるなり「いつもの」と注文しているからだ。
「ああ、今日はなんとなくね。」
こちらも笑顔で返す。
「それで、ご注文は?」
「えっと……ホットケーキ。」
彼女がぷっと吹き出す。
「なに、結局いつも通りじゃないの。」
私の「いつもの」。それはホットケーキにカフェオレ。もっともだとは思いながら、私は苦笑しつつ彼女の言葉を否定した。
「違うって、今日はカフェオレじゃなくて……アイスティーにしてくれるかな。」
 私の「アイスティー」という言葉に、一瞬曇った彼女の顔を、私は見逃さなかった。
 私の戸惑いとは裏腹に、看板娘は笑顔で注文を繰り返すと、カウンターへと戻っていった。私はひとり、さっきの出来事を思い返す他なかった。


(つづく)
posted by きのした@なぎさ at 08:37| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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